KaRMo - 鴨川放射能モニタリングプロジェクト
Kamogawa Radiation Monitoring Project powered by L.P. Ina-Kappe
放射能のおはなし
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15.放射能・放射線をはかる
Inspector Plus
ガイガーミュラー管検出器
Inspector+

PA-1000
シンチレーション検出器
HORIBA PA-1000

EURORAD ベクレルメーター
シンチレーション検出器
EURORAD ベクレルメーター
放射能や放射線のことがわかってきたところで、では、一体、私たちの身のまわりにどのくらいの強さの放射線が存在しているのか、毎日食べている食品にどのくらいの放射性物質が含まれているのか、調べたくなるでしょう。
放射能や放射線は目に見えません。肌で感じることもできません。放射性物質を多く含む食品だからと言って、味が変わるわけでもありません。

では、放射能や放射線をはかるにはどうすれば良いのでしょうか。

はかりたいものとしては次のようなものが考えられるでしょう。

(1) 大気中の放射線の強さをはかる。 = 空間線量
(2) 表面に放射性物質が存在しているか、調べる。 = 表面汚染
(3) 飲食物や土壌、水などに含まれている放射性物質の量を調べる。
(4) どのような種類の放射性物質がどの程度存在しているのか、調べる。 = 核種分析

それでは、どのような方法、機器ではかれば良いのでしょうか。
これにはさまざまなものがありますが、よく聞かれるものを次にあげておきます。

(1) ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)
(2) シンチレーション検出器
(3) 電離箱検出器
(4) ゲルマニウム半導体検出器

この内、一般向けに多く販売されているのは、ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)とシンチレーション検出器です。
ここではこの2つについて説明することにします。
ちなみにゲルマニウム半導体検出器は主に飲食物等に含まれる放射性物質を測定する際に用いられますが、機器はたいへん大型で重量もあり、最低1500~2000万円もしますので、一般では導入することは難しいでしょう。専門の検査機関や企業などで導入されています。

16.ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)について
TGS-146
ALOKA TGS-146
高価だが高性能

SW83A
安価な機種の一例(中国製)
ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)は一般向けに販売されている放射線検出器の中で、おそらく最も普及しているタイプでしょう。
最近では価格的にも1万円台で手に入るような製品も販売されています。

詳しい測定原理はここでは触れませんが、簡単に言うと、特殊なガスが封入されたガラスなどの管に電圧をかけることで、そこに飛び込んでくる放射線を検知することができ、その数をカウントすることで放射線の強さを算出します。
放射線のカウント数(cps:1秒間あたりのカウント数、cpm:1分間あたりのカウント数)から放射線の強さ(シーベルト Sv)を算出するわけですが、この際、ガイガーミュラー計数管の種類によって感度が違いますので、その管の性能に応じた係数を掛け合わせることによって算出します。
例えば、1分間に100カウント(100cpm)が0.1マイクロシーベルト/時に相当するガイガーミュラー計数管を使ったとすると、80カウントであれば0.08マイクロシーベルト/時、120カウントであれば0.12マイクロシーベルト/時という値が導き出されるわけです。

ガイガーミュラー計数管は原理的にα線、β線、γ線、X線といったさまざまな種類の放射線を検出できるものが多いですが、α線は透過力が弱く空気中でも数センチメートル程度しか届かないため、ガイガーミュラー計数管がケースに納められているようなガイガーカウンターではα線は事実上検出できません。
数万円程度で販売されているガイガーカウンターはほとんどその仕様です。また、β線もケースである程度阻まれてしまいますので、安価なガイガーカウンターではかれるのはβ線の一部、γ線、X線と考えて良いでしょう。

ガイガーミュラー計数管の感度はこの後述べるシンチレーション検出器に比べると基本的に落ちてしまいます。
高性能なガイガーミュラー計数管を採用している10~20万円を超える機種ではある程度の感度で測定できますが、数万円程度の機種になってしまうと事実上0.1マイクロシーベルト未満の放射線の強さははかれないと考えた方が良いでしょう。

また、原理的に正確な放射線の強さの数値が出しづらいという点にも注意する必要があります。
特に、本来であればγ線のみとらえて算出する大気中の放射線量をはかる際、β線を一緒にとらえてしまうと数値が大きくなってしまいます。
ガイガーカウンターを使って自分ではかってみたら、行政当局が発表している値よりも何倍もの値が出た、とインターネットで騒いでいるトピックをよく目にしますが、たいていの場合、β線を一緒にとらえてしまったために過大に値が出たというのが原因です。

したがって、ガイガーカウンターを使う際、きちんとした測定値の校正が行われている機種(校正費用は数万円程度かかりますので、校正されている機種は必然的に高価になります)を除き、表示される数値を鵜呑みにするのは危険です。
むしろ相対的に評価すべきでしょう。
例えば、A地点は0.15ミリシーベルト/時だったけど、B地点は0.3ミリシーベルト/時だった。
だから、B地点の方が放射線が強そうだ、といった具合です。
ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)のまとめ:
○ 数万円程度の機種ではかれるのはβ線の一部、γ線、X線
○ 数万円程度の機種では0.1マイクロシーベルト/時未満の放射線は事実上はかれないものが多い。
○ 正確な放射線の強さの数値(シーベルト/時)は出しづらい。
      ↓
0.1マイクロシーベルト/時未満の精度が要求される空間線量(大気中の放射線の強さ)の測定には向かない。
● β線、γ線、X線を出す放射性物質による表面汚染を相対的に調べるには有効。

17.シンチレーション検出器について
PA-1000
HORIBA PA-1000
行政等で多く導入されている

DoseRAE2
DoseRAE2 PRM-1200
5万円を切る価格で手に入れられるシンチレーション検出器。
コストパフォーマンスは高い。
東京都でも導入
シンチレーション検出器は一般向けに販売されている放射線検出器の中で、ガイガーミュラー計数管検出器に次いで普及しているものと思われます。
一般的にガイガーミュラー計数管検出器よりも感度が高く、より精度の高い測定を行うことができます。
そのため、機器の価格もガイガーミュラー計数管検出器よりも高めです。たいていの機種は10万円以上です。

詳しい測定原理は省きますが、簡単に言いますと、放射線をとらえると光る特殊な物質の結晶を用いて測定します。
この光をシンチレーションと言い、結晶をシンチレーターと言います。
よくつかわれる物質として、NaI(ヨウ化ナトリウム)、CsI(ヨウ化セシウム)などがあります。
それぞれの物質によってとらえることのできる放射線の種類(α線、β線、γ線 など)が違いますが、たいていの製品の場合、γ線をとらえるものが多いです。

シンチレーション検出器は0.001マイクロシーベルト/時の精度以上で検出できる機種が多く、ガイガーミュラー計数管検出器に比べると、放射線量の数値も正確性が高いため、専門機関や行政当局などで空間線量(大気中の放射線の強さ)をはかるのによく使われます。
また、精度が高いため、飲食物や土壌、水に含まれる放射性物質の量を調べる検査に簡易的に使われます。(当プロジェクトでも導入しています)もちろん、精度はゲルマニウム半導体検出器に比べると落ちます。

シンチレーション検出器のまとめ:
○ ガイガーミュラー計数管検出器よりも精度が高く、放射線量も正確性が高い
○ 機器の価格は高く、ほとんどが10万円以上。
○ よく使われるNaIやCsIシンチレーターではγ線しかはかれないため、α線、β線の汚染は調べられない。
      ↓
● 0.001マイクロシーベルト/時の精度以上ではかれるものが多く、空間線量(大気中の放射線の強さ)の測定に向いている。
● γ線しか検出できない機種では表面汚染を調べるには向かない。
● 飲食物や土壌、水に含まれる放射性物質の簡易検査に使える。

18.放射線検出器を手に入れるなら…
一般向けの放射線検出器を購入するとなると、だいたい、ガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)か、シンチレーション検出器のどちらかになると思いますが、では、どちらを購入したら良いのでしょうか。

大気中の放射線の強さ(空間線量)を主に知りたい方には、少々高価ですが、シンチレーション検出器をおすすめします。
鴨川の現在の大気中の放射線量はだいたい0.05マイクロシーベルト/時程度ですが、このくらいのレベルの放射線の強さをはかるにはガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)では厳しいです。
したがって、インターネットで販売されている、中国製をはじめとした安価なガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)は大気中の放射線量を調べるにはほとんど使いものにならないと考えて良いでしょう。

表面汚染を主に知りたい方はガイガーミュラー計数管検出器(ガイガーカウンター)をおすすめします。
ただし、安価な機種は感度が低いので、ある程度汚染が高くなりませんと検出することができません。
できれば、α線もはかれる、感度の高い機種を選びたいところです。そうなると、やはり10万円以上の機種を選択することになるでしょう。

飲食物や土壌、水に含まれる放射性物質を主に知りたい方ですが、正直、一般向けで手に入れられる価格で販売されているものはありません。
最低でも100万円近い機種になります。(が、感度や精度は落ちます)
100ベクレルとか1000ベクレルというと、かなり多くの放射性物質が含まれている、と思いますが、実はこれらの量が出す放射線の強さは大気中の放射線量と比べるとごく微弱なもので、これをキャッチするにはかなりの感度が要求されます。
また、簡易検査器の場合、どうしても大気中の放射線量(バックグラウンドと呼びます)の影響を受けてしまいますので、正確な値を得るには相当にコツがいりますので、検出された値はあくまで参考値として受けとめるべきでしょう。

まとめると以下の通りです。

(1) 大気中の放射線の強さ(空間線量) = シンチレーション検出器
(2) 表面汚染 = ガイガーミュラー計数管(ガイガーカウンター)
            ただし、数万円程度の安価なものは避けた方が良い。
(3) 飲食物や土壌、水に含まれる放射性物質 = シンチレーション検出器(ただし、最低100万円程度する) *
  * 正確な値をはかるにはゲルマニウム半導体検出器(1500~2000万円以上)が必要
参考サイト
>>> 環境放射線の測定法(ATOMICA)
放射線の測定方法について詳しく解説されています。興味のある方はどうぞ。

>>> 放射線測定器の種類と一覧
放射線測定器について、たいへん詳しく解説されており、具体的な各製品の比較表もあるため、機種選定の参考になります。



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